「静かな退職」が流行っているとか
最近よく耳にする「静かな退職」。
ある日、人事の人から雑談で
「仕事しないのに会社にずっと居る人がいて困っている」
という話を聞いた。
年齢は50代後半の男性。
朝会社に来て、誰とも会話せずパソコンを開いて座っている。
定時になったらすぐ帰る。
指示されたら最低限の作業はするが、それ以上のことはしないらしい。
特に大きな問題行動があるわけではないので辞めさせることも出来ず、扱いに困っているとのこと。
これって、今流行りの「静かな退職」というやつか?
私も仕事好きというタイプではないけれど、
「会社に来て何もやる事がない」って居場所がなくて、それはそれで辛そうな気がする。
では、なぜ彼は会社に居続けるのだろう?
そこで「会社員であることのメリット」を改めて考えてみた。
社会保険は会社が半分負担
会社に所属していると自動的に加入する「社会保険」。
その保険料の半分を会社が負担してくれるのは本当に大きい。
無職になれば全額自己負担。
毎月の負担が一気に増える。
「社会保険」とは以下の5つセット。
- 健康保険(医療保険):「国民保険」よりお得なことが多い
- 厚生年金:「国民年金」より将来の受給料が増えやすい
- 雇用保険:失業後に一定期間給付を受けられる
- 労災保険:仕事中・通勤中のケガを補償
- 介護保険(40歳以上):給料天引きで加入
(夢のような話だけど)
仮に株式投資で十分に資産が増えて会社員を辞めることがきたとしても、その瞬間から
- 健康保険
- 年金
- 介護保険
を全部自分で支払うことになる。
※ 所得がなくなり「非課税世帯」になると、
国民年金や国民健康保険・介護保険料が「免除・軽減」される場合があり、必ずしも負担が激増するとは限らない。
国民健康保険は「前年の所得」によって保険料が決まるので、「配当」や「売却益」が多いと保険料が上がる可能性がある。
会社員の健康保険なら、資産がいくらあっても保険料は給与ベースなので関係なし。
どんなに資産が増えても、会社がブラックではない限りは会社員の方がかなりお得。
(まず増やしてから言え、という話でもある)
毎月安定した収入が入る
独り身の私にとっては、これが一番大きい。
自由業や完全FIREでは、収入が不安定になることもある。
株の配当もいつ減配や無配になるか分からない。
もちろん会社員も倒産や解雇のリスクはゼロではないけれど
- 体調がいい日
- 体調が悪い日
- 元気な日
- 元気がない日
どんな日でも毎月一定の給料が入ってくる。
これは精神的にも本当に大きく、将来の計画も立てやすい。
「有給」や「傷病手当金」といった「会社員ならではの制度」がある
会社員ならではの制度として、代表的なのがこの2つ。
- 有給休暇:仕事を休んでも給料がもらえる。見方によっては神制度。
- 傷病手当金:病気やケガで働けなくなった時に、給料の2/3を一定期間もらえる
(国民健康保険は対象外)
もし長期の病気になったら、この2つの制度は本当にありがたい。
社会的信用がある
例えば、クレジットカードや住宅ローンなどでも、
「会社員」は仕事をしていない人より審査が通りやすいと言われる。
「肩書きより中身が大事」と思うけれど、
- 「会社員です」
- 「今は特に何もしていません」
初対面で言うときの印象は、やっぱり違う。
多様性の時代になりつつあるとはいえ、日本ではまだまだ「雇用形態=信用度」になる面が残っている。
そのうち「肩書き」の売買をするサービスが出来たりして。
社会とのつながりを保てる
社会人になると、一日の大半は職場で過ごす。
人と接することで傷つくこともあるけれど、学ぶこともある。
私はもともと人見知りで怠け者なので、無職になったら誰とも会わず家に引きこもるだろう。
人と話す機会がなくなると、どんどん社会不適合な感じになりそう。
会社という場所が、強制的に人と関わらせてくれる環境なのは、実はありがたい側面もある。
まとめ
私はメンタルが弱いので、イヤなことがあるとすぐ
「早く会社辞めたい!」と思ってしまう。
でも、会社員のメリットを洗い出してみると、意外と多かった。
「静かな退職」が流行る背景には、こうした“メリットの大きさ”もあるかもしれない。
メンタルを病むぐらいであれば辞めたほうがいいが、
それほどではないのであれば、会社員でいたほうがメリットが大きい。
これから、ますます年齢を重ねてイヤなことも増えるだろう。
すぐに辞める事を考えるのではなく、無理のない範囲でうまくやっていく方法を探るのが一番賢いかもしれない。


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